1年に1日だけ厨子(ずし)が開かれる東大寺(奈良市)法華堂の秘仏・執金剛神立像(しゅこんごうじんりゅうぞう)。1300年前の極彩色を復元しようと、東京芸術大学大学院で文化財保存学を専攻する重松優志さん(34)が、実物と同じ素材や技法で再現する「模刻」に挑戦している。資金はクラウドファンディング(CF)で募る。
執金剛神立像は、奈良時代に制作された国宝。土や粘土に和紙の原料にもなるコウゾを加えた素材でつくられた塑像(そぞう)で、保存状態の良さなどからシルクロードの文化の影響を受けた天平文化の最高傑作ともいわれる。鎌倉時代には、仏師・快慶が模刻に挑戦したことでも知られる。
東京芸大は、2011年と翌12年に東大寺や東京理科大協力のもと、3Dレーザー計測など先端機器を用いて実物の科学調査を実施したことがある。わずかに残された顔料をもとに専門家が当時の色彩や文様を再現し、東京芸大院の山田修特任教授(文化財保存学)がコンピューターグラフィックス(CG)で、彩色された像を立体的に復元した。
重松さんは今回、実際につくった像でCGの彩色を施す。18年4月から塑像の制作に取りかかり、X線写真をもとに内部の木組みも忠実に再現した。像の表面は、色をのせやすくするため、ぬれた筆や竹べらで表面に光沢が出るまで磨いた。8月3日、実物と同じ、高さ約173センチの灰色の像が完成した。
寄付はCFホームページ(https://readyfor.jp/projects/hozonchoukoku-shukongoujin)からできる。詳しくは東京芸大保存修復彫刻研究室(050・5525・2279)へ。
彩色では、蛍光X線で顔料に含…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル